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ねこのシジミ・いちねんせい はじめ文庫の本棚から

マイクロライブラリー はじめ文庫

マイクロライブラリー はじめ文庫の本棚から 第20冊目

いちねんせい 谷川俊太郎・詩/和田真・絵 小学館 1988
ねこのシジミ 和田誠 ほるぷ出版 1996

 

今回は絵本2冊。ねこの本といえば、「吾輩は猫である。名前はまだない」と続くが、この本では「ぼくはねこです。なまえはシジミ」とはじまります。誰かが、シジミが落ちてるみたいと言ったのでついた名前みたいですが、家族はみなそれぞれで呼ぶのです。本の中に出てくるおかあさんとは、和田誠の奥さまのあの明るい料理家の平野レミさんのことですが、このおかあさんにはいつの間にかシジミがフジミになり、そのうちフジオさんになり最後にはフジサキさんと呼ばれたと、この猫は申しております。

我が家にも昔ココアという猫がおりました。家族はみなココちゃんと呼びました。一緒に生まれたきょうだいはみな飲み物の名前がつけられたのです。娘が小学3年生でこの町に転校してきた時、学期初めに家庭訪問に見えた先生が、「ねこいりませんか?」と言われました。わたしなどはそれまで猫も鳥も怖いほうで、道の向こうに見つけただけでも逃げていましたが、それからココちゃんだけは平気になりました。16年生きました。あんなに家族一人ひとりを区別して、猫が我ら人間の面倒を見ていたとは、今でもしみじみ思います。

谷川俊太郎の絵本は、声に出してどんどん読んでいくのが面白いです。「いちねんせい」とはいえ、子どもだけの本ではありません。おとなも自分の中にしまっている子どもの心を引っ張り出して、日本語をたっぷり楽しめます。声に出すだけで笑ってしまう、愉快になる、面白くなって遊んでしまいましょう。「わるくち」というページがあります。ぼくとあいつが、「なんだい」「なにがなんだい」とはじまりました。それからどんどん、「ぼけなす」「おたんちん」と掛け合いになりさらに、「ちょんびにゅるにゅる」「ござまりてべれけぶん」ともうなに言ってるか分からないことになります。言葉ひとつに一人ひとり思うことも違います。このコロナの毎日、気がふさがってたり声も沈んだりしてたら、まず声を出して読んでみましょう。

田崎 敬子

いちねんせい [ 谷川 俊太郎 ]

価格:1,100円
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感想(11件)

はじめ文庫(マイクロライブラリー)は、毎月第3土曜日曜12:00-18:00 オープンしています。

読書でもおしゃべりでもご自由にお使いください。

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