「夜は暗くてはいけないかー暗さの文化論」 はじめ文庫の本棚から

マイクロライブラリー はじめ文庫

はじめ文庫の本棚から 第11冊目
「夜は暗くてはいけないか ー 暗さの文化論」 

乾正雄著 1998 朝日選書

 

夜は暗くてはいけないか? と言われたのなら、
そりゃ暗くたっていいですよと本棚の前でひとりごと。
部屋の電灯が明るすぎるってことかな?

日も暮れて帰宅したら、あちこちの電灯を、ひととおり点けて回ります。
 
もしかして、何かいるかもしれないから。

何かと言うのは、もちろんお化けのことです。
なので、「帰りましたよ〜」とか声をかけます。
 
小学生の頃は、誰もいない家にひとりで入れず、
ランドセルを背負ったまま、外で、母が帰ってくるのを待ちました。
 
昔の家は軒が長かったり、廊下があったり、
木が黒かったりして、常に暗い部屋がありました。
 
祖父母の家に家族親類が集まって、
餅つきなどした日、帰りの夜道は、
手に懐中電灯を持って、
1キロ半の道のりを、月が出ていればまだいいけれど、
まったくの闇夜では、見えるのは足元、
懐中電灯の明かりの内側だけでした。
 
夏の夜、庭にゴザを敷いて寝転んで、父と眺めた夜空の星は、
空一面星くずまで光って見えました。
 
その父の葬式の日の夜、
ちょうどホタルの時期だったので、
ホタルが多いという場所に、
行ってみることになりました。
 
街灯は車を止めた道のそばにひとつあるだけでした。
川に向かう道は野道。闇の中を、気をつけて進みました。
どうも橋らしいところに着いたとき、顔を上げると、ホタルの群れ。

ちょうど川の上空を、流れてくる遠い向こうから、
そして流れていく遠くまで、
見たこともない数のホタルで、天空を見上げると、
空の上は星くずが散りばめられた天の川。

どこから星でどこからホタルか境界がわかりませんでした。

この本ですが、つまり、暗さが人にものを考えさせる、
そういうことはだいじなのだということを書いています。

建物の照度とか輝度とか、建築専門なとこは、私は斜めに読んだり、
飛ばしたりしましたが、暗さについて、ちょっとでも浮かびました。
 
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