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「東京の地霊」 鈴木博之著 文春文庫 はじめ文庫の本棚から

マイクロライブラリー はじめ文庫

はじめ文庫の本棚から 第10冊目
「東京の地霊」 鈴木博之著 文春文庫 1998

 

もうだいぶ前のことになりますが、「福羽逸人って知ってるか?」と、夫に言われ、「そんな人、知らないな」と答えました。

 

「津和野の人だよ」「へ〜」。聞いてみると、明治の時代に日比谷公園や高輪の岩崎邸の庭園など、あちこちの邸宅の洋風花壇を造園している人物だという。それに、新宿御苑でいちごの品種改良に励み、今のいちごは辿っていくと、みな福羽いちごに行きつくのだという。なんで、津和野がふるさとの私が知らないことを知ってるの?と思いながら、ちょうど同窓会で出している新聞の記事を探しているところだったので、わたしの目も光りました。

 

福羽逸人は新宿御苑と、代々木の御領地を一体化して、つまり新宿から渋谷にかけての一大緑地帯をつくり、ヴェルサイユ宮殿を念頭においた迎賓館を建てる夢を持って、その準備を進めていたそうです。しかし、明治神宮造営の計画が突然決まったことにより、その構想は永久に失われました。

 

そんな話を読んでから、最初にもどって、本を読み出しました。この本は、「都市の歴史は、土地の歴史である」ということを書いています。どのような土地にも、興味しんしんの物語が隠されているもので、それらは降りつむ雪のように、おおいかぶさっているけれど、その奥にひそむもの、そこに漂っているもの、いまだにさすらうものがあるのであり、土地や建物は何も言わないけれど、流れる時間の古層の中に、思わぬ人々の姿を浮かび上がらせると、とても興味深いものを感じさせる本です。身近にも、良いことがおきる土地、悪いことがおきる土地とか、ありますよね。

 

はじめ文庫(マイクロライブラリー)は、毎月第3土曜日曜12:00-18:00 オープンしています。読書でもおしゃべりでもご自由にお使いください。

 

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