マイクロライブラリー はじめ文庫の本棚から 第23冊目
ラーメンと愛国 速水健朗著 講談社現代新書 2011
ラーメンの語られざる歴史 ジョージ・ソルト著 国書刊行会 2015
この1年ラーメン屋さんにほとんど行ってません。悲しいかな。店の前を通りかかって店内をのぞいても客はいない。店のスタッフが丁寧に準備をしてお客さんを待っているのが見えるばかり。
ラーメンは激しく変化する食べ物らしく、今の世の中どんなラーメンが出てきてるのでしょうか。先日どこかでチラと見たラーメンは、とてもラーメンとは言えないような、ラーメン創作料理、ナイフとフォークで食べるのかい? とつぶやいてしまうような作品ものでした。そこまで追究してしまう魅力がきっとラーメンにはあるんですね。そして同時にもともとのラーメンにこだわっている人も多いのも確かです。
今回のこの2冊の本は、どちらもラーメンの歴史書、現代史です。日本人にとってラーメンって何だ? とそれを探る旅に出た日本人の書かれたものが1冊目。日本文化を知るためにはラーメンとは何かを理解することだと研究を進めたアメリカ人の書かれたものが2冊目です。両方、ラーメンが真面目に語られています。ふつうは考えない見えないラーメンの事実や背景を教えてくれます。
ま、そんなことはラーメンを食べる時は関係ありません。スープをレンゲから一口すすった時の喜び、味の深さ、抑えてはいてもジワッと顔に表れてしまいます。麺の種類、その細さ太さ噛みごたえを確かめたり、トッピングをどれから食べるか選んだり楽しみは無限にあります。今はラーメン道とか言うらしい、メーンと一本決められる楽しみもあります。そして今やラーメンは日本庭園と比較される食べ物になってきたらしいよ。どんぶりという限られた狭い空間に、石や植物ならぬ、チャーシューやほうれん草やナルトを浮かべて、宇宙を表出するという日本独自の文化が、目の前に浮かび上がっていると言うのです。そんなことより麺が伸びないうちに、ズズッと食べてしまってくださいね。
※こちらの文章は4月4日に書かれたものを記事化しています。
田崎 敬子
価格:715円 |
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