マイクロライブラリー はじめ文庫の本棚から 第27冊目
のほほん行進曲 東海林さだお著 文藝春秋 1997
このコロナの世の中、のほほんとした気分でもありませんが、行進曲で元気を呼び覚ましたいところです。
文藝春秋から月刊で発行される『オール讀物』は、春と秋には直木賞の作品と評が掲載される娯楽小説誌ですが、この本に、漫画家東海林さだお(しょうじさだお)が「男の分別学」という文章を連載しています。昨年の2020年11月号で40周年だそうです。
この『のほほん行進曲』は、1995年〜1997年に書かれたものの中から、のほほんとしたものを選び出して単行本にしたものです。
「オール讀物」は中高年対象の娯楽誌だそうで、旅の話、美味い食べ物の話、人生の悲哀、男の浪漫など、その男らしさに笑ったりあきれたり感心したり蹴飛ばしたりみたいな話満載ですが、この本も日ごろのちょっとした話を、読者をしらけさせないで最後までのほほんと語ってくれます。
定年退職して一日中家にいることになった夫が、妻に自然な声かけができないという事例、それをより詳しく聞き出して考察していきますわざわざ。笑えるような悲しいような話ですが、実はクスクス笑えて、最後にはこの夫と妻を祝福して、キレよく終わリます。普段気にもとめないようなことに目を向けて、それを大いに楽しんでいくおじさんが考えてることに、ついつい付き合わされてしまいます。
「どっこいしょ」って、年取ってきたらみな言いますよね。民謡の掛け声ではありません、立ち上がる時の『どっこいしょ』です。アメリカ人も言ふらしいです。「Yo-heave-ho(ヨー、ヒーヴ、ホー)」。なんだかひょろひょろ気が抜けたみたいで、「どっこいしょ」の方が腰が入っています。heave というのは持ち上げるぞと言う意味だから、非論理的にかけては日本が上だなどと言って笑わせてくれます。
つまり日本人は、のほほんのほほんと、どっこいしょと言って生きて行く人たちだってことですかな。今年の夏は、のほほんのほほん♪♪ と、のほほん音頭が盆踊りで踊れますように。
田崎 敬子
※こちらの投稿は5月23日の投稿を記事化したものです。
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