はじめ文庫の本棚から8冊目
「童話集銀河鉄道の夜他14篇」宮沢賢治作　谷川徹三編　　岩波文庫

この童話集の中に、「注文の多い料理店」という１篇があります。奥深い山の中に、二人の紳士が迷い込んで、そこで見つけた山猫軒というレストランに入る話です。

ついこないだ、埼玉県越生（おごせ）の山の中にあるという、山猫軒を訪ねました。立派な一軒の西洋造りの家で、RESUTAURANT WILDCAT HOUSU 山猫軒、と入口にあって、まさに本のとおりです。また本の中に、太ったお方や若いお方は大歓迎とありますが、ご一緒した御仁が、我ら女子のことを昭和の美女と言ってくださったので、そのあたりは大目に見ていただきましょう。それから最後に、塩をからだによくもみこむ場面がありますが、実は昭和の美女はお風呂でけっこう揉みこんでいまして、この辺もクリアして、気持ちの良い一日をのんびりと過ごしてきました。

あそこに秘密の隠れ部屋があるんですよと教えられて、その前に立った時は、実際、押すのか引くのか、はたまた回転するのか、取っ手も何もない壁でしたが、すっと引き寄せられるように入ると、そこは本部屋で、やっぱり、棚に宮沢賢治全集が並んでいました。